#書評 #不死身の特攻兵

徒然なるままの書評です。

「不死身の特攻兵」鴻上尚史 著 講談社現代新書 2017

神風特別攻撃隊(特攻隊)に9回出撃して9回生還した方(佐々木友次氏)の話。

 

この本を読んでそんな方がいらっしゃったということを初めて知る(上官の命令に逆らい、人間の尊厳を大事にされた方。なので、尊敬します)と同時に、日本人の精神性(同調圧力)について深く考えさせられました。

 

著者は説きます。

「日本では、違う言語を話す異文明に蹂躙された経験がないので、「世間」は所与のもの(初めからあたえられたもの)だと思うことが当たり前になり、集団依存主義と運命依存主義が生まれた」

「日本人を苦しめたのが、異国の異文化や異教徒ではなく、自然災害だったということが、じつは「所与性」を生む原因だったのではないか」

「明らかに違う言語を話す異文明に侵略されれば、それを甘んじて受け入れることは難しい」が、「地震や台風、日照り、津波などの災害なら(あるいは先の大戦の敗戦も?)、人はそれを受け入れるしかなくなるのではないか」

 

凄く共感できます。

つまり、与えられたものは(容易に)変えることはできない、自分は変える立場ではない、総論賛成・各論反対・・・

 

長時間のサービス残業(コロナがなければ続いていただろう)

真夏(炎天下)の甲子園(ナイターだと何故いけないの?)

新型コロナへの感情的対応(死者数が圧倒的に少ないにも関わらず「指定感染症2類」にし続け、医療現場を疲弊させ続ける意味がわからない)

セ・リーグ5球団におけるDH制導入の反対(セ・リーグを圧倒的な差で制した巨人が日本シリーズで完膚なきまでにたたきのめされた(=実力差がはっきりした)にもかかわらず、巨人以外の5球団が反対する意味がわからない)・・・

 

まぐろの勝手な思い込みではありますが、全て根(精神性)は同じなんだろうと思います(当たり前か。先祖代々受け継がれているんだから)。

 

そんな「世間」の中、同調圧力にもめげずに自分を貫いた「不死身の特攻兵」と、それを描いた著者に敬意を表します。

☆☆☆☆☆(星5つ)